
日頃、イタチの駆除を専門に行っているものからすると、当然イタチの生態については十分把握しています。
しかし一般の方にとっては、家の天井裏などに動物などの気配を感じたとしても、それがイタチの仕業であると認識するのはなかなか難しいですよね。まずは家の害獣ワーストワンであるイタチが、どのような動物なのか知ることが大切です!
今回は、駆除業界の専門家の視点でイタチの生態について詳しく解説していこうと思います。
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2023.10.04
イタチ
【専門家が解説】イタチの生態について
イタチ(鼬、鼬鼠)とは、ネコ目イヌ亜目クマ下目イタチ科イタチ属に含まれる哺乳類の総称です。
オコジョ、イイズナ、ミンク、そして、ペットとして人気のあるフェレットもイタチ属になります。
日本では「イタチ」という言葉は、国内に多く生息する「ニホンイタチ」のことを指していました。現在では形態や生態のよく似た「シベリアイタチ」を含めて「イタチ」と呼んでいます。
よく聞く「チョウセンイタチ」はシベリアイタチの亜種名なので、この記事ではシベリアイタチと表記します。
もともとイタチは山地や水辺などにいました。
それが人里におりてきて、農村の作物や家畜などに被害を及ぼし、都市部などの人家の周りにも生息域を広げ、住宅に侵入して巣をつくり、騒音・異臭などの被害をもたらすようになりました。
日本のイタチの分布と身体的特徴について
日本に生息するイタチ属に属する動物は、4種7亜種います。
(チョウセンイタチとアメリカミンクは外来種になります。)
その中で、家屋に被害をもたらすのは、主に在来種の「ニホンイタチ」と、外来種の「シベリアイタチ」になります。
在来種であるニホンイタチは北海道、本州、四国、九州と日本全土に幅広く分布しています。
外来種のシベリアイタチは、毛皮獲得のために持ち込まれたものが逃げ出して、現在では九州、四国、本州中部地方以南と西日本を中心に分布しています。
もともと全国的に生息していたニホンイタチですが、身体が一回り大きいシベリアイタチに山間部へと追い出されてしまいました。
実際に九州や西日本で捕獲されるイタチのほとんどが、シベリアイタチとなっています。
イタチの主な活動場所は平野部の草地、川や湖沼、湿地、沢などの水辺ですが、
低地の田畑や人家の周辺、山岳地帯にも生息しています。
ニホンイタチは農村部に多く見られ、シベリアイタチは都市部に多く見受けられます。
体型は細長く、脚は短く、太い尾を持っています。
顔立ちは、鼻先がとがっており、丸くて小さな耳があります。
毛色は茶褐色から黄褐色で、目の周辺から鼻先にかけては黒に近い褐色、鼻先から顎にかけては白色となっています。
成獣の大きさはオスのほうが大きく、メスのほうが小さいです。日本に生息する哺乳類の中ではオスとメスのサイズが大きく異なるのが特徴です。
シベリアイタチとニホンイタチは非常に似ておりますが、
見分けるポイントは以下のとおりです。
実際に両方を同時にみることはないでしょうから、確実な見分け方は「尾の占める割合」が決め手になると思います。
両方を比較してみることはないと思いますし、体長は個体差がありますので、
一番確実に判別する方法は「身体に対する尾の占める割合」かと思います。
ニホンイタチ | シベリアイタチ | |
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|
体長 | オス 27~37cm メス 16~25cm |
オス 28~39cm メス 25~31cm |
尻尾 | 体長の半分以下 | 体長の半分以上 |
体重 | オス 290~690g メス 140~300g |
オス 650~820g メス 360~430g |
イタチの分布と外見の特徴について確認できたかと思いますが、イタチとはどのような動物なのでしょうか?
その生態についてまとめてみました。
イタチは日中に活動することもありますが、基本的に夜行性です。
そのため家の中に侵入すると、人が寝静まる頃にドタバタと屋根裏を走り回り、住んでる方を不安に陥れ、ストレスの要因となります。
野生動物の多くは冬になると冬眠をしますが、イタチは冬眠をしません。
寒い雪の中でも活発に活動しているところが目撃されることもあります。
イタチは基本的に単独で生活を行います。基本的にツガイで行動することはないので、複数のイタチを見かけたら子イタチの可能性があります。
ニホンイタチはメスのみが育児しますが、シベリアイタチはオスも育児を手伝います。
イタチの寿命は定かではありませんが、飼育下で1.4年、野生では平均1.9年と、意外と短命だと言われています。
(シベリアイタチは飼育下で8.8年生きたという報告があります。)
イタチが短命なのは、心拍が非常に速く、1分間に400回脈を打ちます。心拍数が早ければ早いほど短命であるとされており、これが格段に早いイタチは短命であるといわれます。
海外では、冬期の食糧難により、餓死するケースも多いです。
イタチの繁殖期は年に1回で、3月~5月頃の暖かくなってきた頃に交尾をし、その1ヶ月後に平均で5、6頭(最大で8頭ほど)出産。(ニホンイタチで3~4頭、シベリアイタチで5~6頭を産みます。)
子育て期間は2、3ヶ月ぐらいで、生後70~80日ぐらいで大人と同じぐらいの体重になります。
8月頃には親と別れて子どもたちだけで行動するようになり、10月下旬頃から単独生活をします。
また、産まれて1年目で繁殖が可能になります。つまり、産まれて翌春には繁殖可能ということです。
オスが行動圏が広く、そこにいたメスと交尾します。(一夫多妻で、複数のメスとの間に子どもを作る。)
イタチが家の屋根裏に侵入しねぐらとしてしまった場合、断熱材を荒らされたり糞などの被害が発生します。
繁殖期でイタチの数が増えてしまう前に対策を取る必要があります。
イタチに荒らされた断熱材
フェレットなど同じイタチ科の動物がペットとし飼われているので、おとなしい性格だと思われがちですが、
イタチは非常に獰猛で荒々しい攻撃的な性格です。
不用意に近づいて刺激すると、鋭い爪で引っ掻かれたり、噛みつかれたりしますので、見つけたとしてもむやみに近づかないようにしましょう。
「キーッ!キーッ!」や「クククク!」と非常に甲高い声で鳴きます。
想像以上に鳴き声は大きく、飼育するには向きません。
(そもそも野生のイタチは「鳥獣保護管理法」によって飼うことは禁止されています。)
イタチは基本的に肉食よりの雑食性で、主に肉食を好み、ネズミなど小型のほ乳類や鳥類を捕食します。
他にも卵や雛、昆虫類やカエルなどの両生類も食べます。水に入り、ザリガニやカニなどの甲殻類や魚類を食べることがあります。
また、ヤマグワやサクラ、ヤマブドウ、マタタビの実などの植物質のものも食べることもあります。
家屋や庭に侵入した場合、家畜のニワトリやウサギ、またペットの子犬や子猫が襲われることもあります。
イタチの天敵としてはワシやタカ、フクロウなどの猛禽類の他、キツネや野良猫などの大型のほ乳類が挙げられます。
日本ではオオカミなどの大型のほ乳類が少ないため、イタチが繁殖しやすい環境にあるといえます。
幼体では猫などに襲われるという話はありますが、その俊敏さから、成体になってからは襲われるという心配があまりありません。
また、イタチの中でもシベリアイタチがその生息範囲を広げており、ニホンイタチが生息域を追われています。
(西日本でのイタチの被害のほとんどはシベリアイタチによるものです。)
イタチのフンは細長く、個体によってさまざまですが約6mm程度です。
フンには水分が多く含まれており、途切れることがなく細長いのが特徴です。
毛や植物の種などが入っている場合が多いです。
イタチの巣はどこにある?
また、電線や電気設備などをかじるのが好きな害獣です。
イタチが棲み着くと、高い確率で断熱材に噛まれた穴が見つかると言われています。
このような動物による被害は大きいので、早めに駆除の対策をすることが大切です。
イタチは隠れるのがとても上手なので、追い払うのが難しいです。
また、人間との接触も避けようとするので、捕まえようとするときは根気よくやることが大切です。
イタチを駆除する方法としては、罠にかけてから野生に帰すのが一番です。
ペットを飼っている場合、ペットに害が及ばないようにすることが重要です。
イタチの臭いとは?イタチはスカンクに似た臭腺を肛門の周りに持っています。
そのため、外敵に襲われると、この腺から強い悪臭が放出され「イタチの最後っ屁」、さらに臭くなるのです。
服につくと何日も臭いが残ります。
つまり、イタチの近くに行く場合は重ね着(防護服)を着用することです。
そして家屋がイタチの被害にあってしまった場合、捕獲、追い出し、侵入口の封鎖、清掃消毒、建物の修復などを行う必要があります。
個人でこのような作業を行うことは可能ですが、大変な手間と場所によっては危険が伴います。
(なお、捕獲には自治体の許可と狩猟免許が必要になります。)
できれば害獣専門の業者に依頼することをおすすめします。
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